駐車場経営で経費計上できる費用・できない費用を解説

駐車場経営で経費計上できる費用・できない費用を解説

少ない資金で始められる土地活用として人気の駐車場経営ですが、経費計上できる費用・できない費用があることをご存じでしょうか。
経費として計上できる費用を知っておけば確定申告で税金を抑えることができ、節税効果が期待できます。

ここでは駐車場経営において経費計上できる費用・できない費用を解説します。

駐車場経営で経費計上できる費用

まずは駐車場経営で経費にできる費用をご紹介します。

・駐車場経営開始時にかかる費用
・駐車場経営の運営
・駐車場経営終了時にかかる費用

それぞれの費用について詳しく見ていきましょう。

駐車場経営の開始時にかかる費用

駐車場経営を始めるには、さまざまな初期費用が必要となります。
経費計上できる初期費用は以下のとおりです。

・土地整備費用
・看板設置費用
・管理機器や設備関連の費用

土地整備費用

駐車場経営を開始するには、まず土地を整備する必要があります。
主に必要となる土地整備費用は以下のとおりです。

・解体費用
・舗装費用
・車室区画整備費用
・車止め設置費用

解体費用

土地に建物が建っている場合、解体して撤去する必要があります。
その際の建物を解体する費用も初期費用として経費計上できます。

舗装費用

土地を駐車場として利用できるように舗装する費用です。

舗装には、アスファルト舗装・コンクリート舗装・砕石舗装・未舗装(砂利敷き)などいくつかの舗装タイプがあり、
タイプによって費用や耐久性が大きく変わってきます。
コインパーキング経営には耐久性に優れたアスファルトまたはコンクリート舗装が適していますが初期費用が高めになります。
初期費用を抑えたい場合や短期間の経営の場合は、砂利を敷くだけの未舗装でも可能ですが耐久性や利用者の快適性が劣ります。

車室区画整備費用

駐車場内に車がきちんと駐車できるようにスペースを整備する費用です。

舗装された駐車場(アスファルトやコンクリート)では、専用のスプレーやテープを使ってラインを引き、各車室には分かりやすく位置を示すために番号も記載します。砂利敷きの駐車場では、ラインの代わりにロープで区切り、小さな立て札を使って車室番号を表示することが一般的です。

車止め設置費用

利用者に駐車スペースの停止位置を知らせるために車止めを設置する費用です。

車止めを設置することにより駐車位置の目印になります。
また、車が下がりすぎて建物やフェンスにぶつけてしまうなどといった事故を防ぐことができます。

看板設置費用

看板は利用者に料金情報やルールを正確に伝えるために重要な設備です。
主に必要となる看板は以下のとおりです。

・料金看板
・満空表示機(P看板)
・利用規約看板

料金看板

料金看板には、駐車料金・駐車場名・問い合わせ先などを明確に表示します。
コインパーキング経営では、1時間あたりの料金や最大料金といった詳細な料金情報を、
分かりやすくはっきりと掲示する必要があります。
わかりづらい料金表記ではトラブルやクレームに発展しかねません。

月極駐車場経営の場合、問い合わせ先の表示だけでも問題ないでしょう。

満空表示機(P看板)

満空表示機は、駐車場の空き状況をリアルタイムで利用者に知らせる看板です。
駐車場の入口付近や視認性の高い場所に、駐車場の位置を知らせる「P看板」と一緒に設置することが一般的です。
満空表示機とP看板が一体化したタイプもあります。
設置することで利用者が駐車場を見つけやすく、スムーズに空車状況を確認できるため、集客力や駐車場の収益向上にもつながります。

利用規約看板

利用規約看板は、駐車場を利用する際のルールや注意事項を明確に表記します。
看板を設置しておくことで利用者との間で発生しやすいトラブルの未然防止につながります。
損害賠償の免責事項や禁止事項を明確に表示する必要があります。
特に駐車場内での事故や車上荒らしについての規約は記載した方がよいでしょう。

管理機器や設備関連の費用

駐車場を経営するにあたり必要な管理機器や設備関連の費用も経費計上できます。
主な管理機器や設備は以下のとおりです。

・ロック板、ゲート機
・精算機
・照明
・防犯カメラ
・フェンス

ロック板、ゲート機

ロック板やゲート機は、利用車両の出入りを管理し、不正駐車を防止するための設備です。
小規模な駐車場ではロック板、20台以上の大型駐車場ではゲート機が採用される傾向にあります。
また近年ではロック板やゲート機を設置しない、ロックレス式駐車場も増えています。
ロック板やゲート機がないことで管理がしやすく、メリットの多い駐車場です。
ロックレス駐車場については以下の記事で解説しています。興味のある方は合わせてご覧ください。
関連記事:ロック装置なしのコインパーキングの仕組みとメリット

精算機・精算機用テント

コインパーキング経営において精算機は必要不可欠な設備です。
近年では、キャッシュレス決済対応や遠隔操作機能など、多機能な精算機が増えています。
客層や利用者のニーズに合わせて最適な精算機を選びましょう。

また精算機と併せて精算機用テントも設置するとよいでしょう。
精算機の故障を防ぐ他に、日差しが強く精算機の表示が見えにくい・紙幣が濡れて詰まるなどのトラブルを防ぐことができます。

照明設備

看板照明や場内照明を設置することで事故やトラブルを防ぎ、利用者の安全確保・安心感につながります。
また、防犯面でも不審者の侵入を抑止する効果が期待できます。
LEDをはじめとした省エネタイプの照明設備を導入することでランニングコストを削減できます。

防犯カメラ

防犯カメラを設置することで、駐車場の安全管理やトラブル防止に役立ちます。
車上荒らしや不正駐車、いたずら行為などの問題行動への抑止効果が期待できます。
また、事故やトラブルが発生した場合も、録画された映像が証拠として活用できるため、迅速かつ適切な対応や問題解決が可能です。
不正駐車が判明した場合も、記録された映像を元に利用料金の請求などの対応が取れる点も大きなメリットと言えます。

防犯カメラの映像確認方法はカメラの種類により異なりますが、
インターネット経由でスマホやパソコンから確認できるものがお勧めです。
自宅など駐車場から離れた場所にいてもリアルタイムで確認できるので便利です。

フェンス

フェンスの設置は、駐車場の境界を明確にし、近隣住民への安全性やプライバシーに配慮できます。
また、防犯対策としてもフェンスの設置は有効であり、不審者の侵入やトラブルの抑止にもつながります。

駐車場経営の運営費用

駐車場経営において発生する運営費用にも、さまざまな項目があります。
経費計上できる運営費用は以下のとおりです。

・管理費・人件費
・電気代
・メンテナンス・修繕費用
・消耗品
・決済手数料
・保険料
・減価償却
・租税公課
・借入利息

管理費・人件費

管理費とは、駐車場の運営において日常的に発生する清掃や消耗品の補充、利用者対応など各種管理業務にかかる費用を指します。
自分自身で駐車場を管理することが難しい場合、不動産会社や管理事務所などに管理業務を委託するケースも多く見られます。
外部の管理会社に委託する場合は委託料が管理費に含まれ、専任の管理者を雇用する場合には人件費も発生します。

電気代

電気代は駐車場経営における代表的な運営コストの一つです。
主に照明設備や満空表示機、精算機、ロック板、ゲート機などが日常的に稼働し電気を使用しており、
これらの電気代は経費として計上できます。

メンテナンス・修繕費用

ロック板・ゲート機や精算機などの機器は設備が故障しないよう定期的にメンテナンスを行うことが必要です。
また設備が破損した場合は修繕作業も発生します。電球・看板の交換、舗装の修繕といった軽微な作業は自身で対応できますが、
精密機器や複雑な設備のメンテナンス、修繕は専門業者へ依頼する方が安全で確実です。

消耗品

駐車場の運営において日常的に必要となる、レシート用紙や駐車券、領収書、電球などの消耗品を購入した場合、
その費用を経費として計上することができます。忘れずに経費計上しましょう。

決済手数料

決済手数料とは、キャッシュレス決済(クレジットカード・電子マネー・QRコード決済など)の利用に伴う手数料のことです。
キャッシュレス決済対応の精算機を導入している場合、それらのサービス提供会社(クレジットカード会社や決済代行会社など)に支払う手数料が該当します。

保険料

万が一に備え各種保険に加入しておくと安心です。
駐車場設備が原因で利用者の車両や近隣住民に損害を与えてしまったり、
売上金の盗難などのトラブルが発生した際にも損害を最小限に抑えることができます。

減価償却費

駐車場経営を始める際にかかった10万円を超える初期費用、
例えば舗装費用や精算機の費用などは耐用年数に応じて減価償却費として経費計上できます。

なお駐車場用地として購入した土地は、時間の経過によって価値が減少しないため減価償却の対象とはなりません。

租税公課

租税公課とは、国や地方に納める税金「租税」と、公共団体へ納める交付金など「公課」を合わせた税金です。
租税公課には様々な種類がありますが、駐車場経営において経費計上できる税金は以下のとおりです。

・固定資産税
・都市計画税
・償却資産税
・個人事業税
・消費税
・登録免許税
・印紙税

借入利息

駐車場経営のための土地の購入や初期費用の借入を行った場合、返済金額のうち利息部分は、支払手数料として経費計上が可能です。
毎月の返済金額は経費計上できませんので注意が必要です。

駐車場経営終了時にかかる費用

駐車場経営を終了する際にかかる費用も経費計上できます。
経費計上できる費用は以下のとおりです。

・原状回復にかかる費用
・契約者の対応費用
・違約金

原状回復にかかる費用

駐車場経営を終了する際には、土地を元の状態に戻す「原状回復」が必要となります。
原状回復の際に発生する、設備撤去費用や土地の舗装工事費用は経費計上することができます。

原状回復はトラブルが発生しやすいポイントでもあります。
後々のトラブルを防ぐために、駐車場として利用を始める前の土地の状況を写真などで記録しておき、
契約時に原状回復の範囲や内容を明確に取り決めておくことが重要です。

契約者の対応費用

月極駐車場を経営している場合、契約者に契約解除の通知をする必要があります。
一般的には通知書面を郵送しますが、その際にかかった費用は通信費として経費計上できます。
その他に清算手続き、返金対応、問い合わせ対応が発生した場合や、管理会社が変わる場合の契約書の変更費用や引き継ぎ費用なども経費計上の対象ですので忘れずに申告しましょう。細かいところでは駐車場代の振り込み口座の変更にかかった費用も対象になります。

コインパーキングを経営している場合は、駐車場経営を終了する旨のお知らせを駐車場内に掲示するといいでしょう。

違約金

経営者の都合で契約期間中に契約解除をする場合、管理会社や設備リース会社、契約者へ違約金の支払いが生じることがあります。
これらの違約金は経費として認められますが、損失を最小限に抑えるためにも、事前に契約内容や違約金の発生条件・金額をしっかりと
確認しておきましょう。

駐車場経営で経費計上できない費用

駐車場経営において発生する費用のうち、経費として計上できないものがいくつかあります。

経費計上できない費用は以下のとおりです。

・土地を購入する費用
・仲介にかかる手数料
・固定資産税、都市計画税相当額の清算金

土地を購入する費用

土地を購入する費用は、駐車場経営に関係する支出の中でも、経費として計上できない代表的なものです。
土地は有形固定資産として資産計上され、建物や設備のように価値が時間の経過とともに減少するわけではないため、
減価償却の対象外となります。このため、土地購入の代金は経費にはできず、売却や譲渡時に譲渡損益として扱われます。

ただし、購入時に発生する「不動産取得税」や「登録免許税」などの税金については、租税公課として経費計上が可能です。

仲介にかかる手数料

駐車場経営を目的として不動産会社を通じて土地を購入する場合、仲介手数料が発生します。
仲介手数料は土地や物件取得に直接関連する費用とされており、土地取得費に含まれる購入手数料として扱われます。
そのため、仲介手数料は経費として計上することはできません。

固定資産税、都市計画税相当額の清算金

固定資産税や都市計画税に関連する清算金は、経費計上が認められない費用となります。

土地の所有に対して課税されるこれらの税金は、通常、1月1日時点の所有者が納税義務を負うため、たとえその年の途中で土地を売却して所有者が変わった場合でも、納税義務自体は元の所有者となります。しかし、元の所有者がすべての税負担を負うのは不公平なので、
売主と買主との間で話し合い、引き渡し日以降に相当する期間分の金額を買主が売主に精算金として支払うのが一般的です。
このような清算金は、土地取得費に含まれるため、駐車場経営の必要経費として計上することはできません。

経費計上により確定申告で税金を抑えられる

駐車場経営にかかる費用を適切に経費計上することは、節税対策に直結します。

税金は、売上から必要経費を差し引いた課税所得に対して発生するため、経費として計上できる項目を正しく把握し、申告漏れのないようにすることが重要です。経費計上できる費用をもれなく申告することで課税所得を減らし、結果的に納める税金を抑えることができます。

青色申告での控除の活用

青色申告を利用することで、駐車場経営における節税効果が高まります。

確定申告には青色申告と白色申告があり、青色申告は複式簿記によるきちんとした帳簿付けが必要となります。
白色申告に比べ手間と知識が必要となりますがその分、青色申告特別控除として最大65万円の控除を受けられます。
課税対象の所得は「駐車場収入-経費-65万円」で計算されるため、65万円分だけ課税所得を減らすことができ、税金の負担が軽くなります。

経費の判断に迷った場合は税理士などの専門家へ相談

駐車場経営に必要な支出の多くは原則として経費計上が可能ですが、土地の購入費用や仲介手数料など一部の支出は資産計上の対象となるため、経費計上できません。経費計上の可否は費用の性質や用途によって異なり、判断を誤ると税務署から過少申告加算税が課されるなどの税務上のトラブルにつながる恐れがあります。経費の判断に迷った場合は税理士などの専門家へ相談するとよいでしょう。

まとめ

駐車場経営で経費計上できる費用・できない費用を解説いたしました。

駐車場経営では各種経費の内容を正確に理解し、適切に経費計上することが重要です。どの支出が経費計上できるのか、そうでないのかを明確に区別したうえで帳簿に正しく記録しておくことで、青色申告による特別控除も活用でき、節税効果に繋がります。

また、駐車場経営を成功させるには駐車場経営専門の会社に委託するのも一つの手段です。

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