駐車場事故の責任は誰に?管理者と運転者の過失割合を解説

駐車場での車両事故は、公道とは異なるルールが適用される場合があり、責任の所在が複雑になりがちです。

事故の責任は基本的に運転者同士の過失割合によって決まりますが、駐車場の管理者に責任が問われるケースも存在します。

この記事では、駐車場で発生した事故の責任について、運転者と管理者の観点から、具体的なケース別の過失割合や法的な根拠を解説します。

この記事でわかること

  • 運転者同士の事故におけるケース別の基本的な過失割合
  • 施設の欠陥など駐車場の管理者に賠償責任が問われる条件
  • 事故発生から保険会社への報告までに行うべき対処手順
  • 過失割合の交渉を有利に進めるための証拠の重要性

駐車場での事故|責任は運転者と管理者のどちらにあるのか

駐車場での事故における責任は、原則として事故を起こした運転者同士の過失の度合いに応じて決まります。

駐車場の構造的な欠陥や設備の不具合が事故の原因となった場合は、土地の工作物の設置または保存の瑕疵として、施設の所有者や占有者である管理者が賠償責任を負う可能性があります。
そのため、個々の事故状況に応じて、車両の運転者だけでなく管理者の責任の有無も慎重に判断されることになります。

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【運転者同士】駐車場での事故におけるケース別過失割合

駐車場内での車両事故は、道路交通法が全面的に適用される公道とは異なり、独自の注意義務が求められます。
そのため、事故態様に応じた過去の判例を基に、基本的な過失割合が判断されるのが一般的です。

ここでは、駐車場で起こりやすい典型的な事故について、それぞれのケースにおける基本的な過失割合を解説します。

駐車スペースに出入りする車と通路を直進する車の事故

駐車場内では、通路を走行している車両の進行が優先されるのが原則です。
そのため、駐車スペースから出ようとする車と、通路を直進してきた車が衝突した場合、駐車スペースから出ようとした車の過失が大きくなります。

過去の判例に基づく基本的な過失割合は、駐車スペースから出た車と直進車の間で「7対3」程度と判断されることが一般的です。

ただし、直進車側に速度超過などの著しい過失があれば、割合は修正されます。

駐車スペース内で起きた車同士の接触事故

駐車スペース内で隣接する車両同士がドアを開けた際に接触する、いわゆる「ドアパンチ」のような事故では、過失割合の判断が難しい場合があります。

相手が停止している車両に一方的にぶつけた場合はぶつけた側の過失が100%となることが一般的ですが、お互いがドアを開けるなど同時に動いていた状況では、双方に注意義務があったと見なされ、個別の事情に応じて過失割合が判断される可能性があります。

アパートやマンションの駐車場など、日常的に利用する場所でも同様の考え方が適用されます。

駐車場内の通路が交差する場所での出合い頭の事故

駐車場内の通路が交わる交差点で、一時停止の標識や優先道路の指定がない場所での出合い頭の事故は、双方に同程度の注意義務があったと判断される傾向にあります。
この場合、基本的な過失割合は「5対5」に近くなります。

ただし、一方の通路が明らかに広い、見通しが効くなどの状況があれば、それぞれの道路状況に応じて過失割合が修正されます。
どちらかに一時停止の義務がある場合は、それを怠った車両の過失が著しく大きくなります。

駐車場内の車両と歩行者が接触した場合の過失

駐車場内であっても、歩行者と車両が接触した場合は、歩行者保護の原則が強く働きます。
基本的に車両側の注意義務が非常に重いと判断され、運転者の過失が大きくなるのが一般的です。

たとえ歩行者に急な飛び出しなどの不注意があったとしても、車両の運転手にはそれを予見して安全に運転する義務があるとされるため、過失がゼロになるケースはほとんどありません。

当て逃げされた場合の基本的な過失割合

駐車場に正しく停車している車両に対して、他の車が一方的にぶつけてそのまま立ち去る「当て逃げ」の場合、被害者側には全く過失がありません。

したがって、加害者が特定された場合の基本的な過失割合は、加害者が100%、被害者が0%の「10対0」となります。

問題は加害者を特定できるかどうかであり、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像が重要な証拠になります。

防犯カメラ設置のメリットについては「コインパーキングに防犯カメラを設置するメリット」で詳しく紹介しています。

【駐車場管理者】責任を問えるケースと法的根拠

駐車場での事故は運転者の責任が主ですが、施設の構造や管理体制に問題があった場合は、駐車場の管理者が責任を問われることがあります。
この法的根拠は、民法第717条の「土地工作物責任」です。

施設の設置や保存に瑕疵(欠陥)があり、それによって他人に損害を与えた場合、施設の占有者や所有者である管理者が損害賠償責任を負うと定められています。

管理者に賠償責任が発生する具体的な状況とは

駐車場の管理者が損害賠償責任を負うのは、施設の設置や保存に関する「瑕疵」が原因で事故が発生した場合です。

具体的な状況としては、路面に大きな穴が放置されていた、場内の照明が切れていて夜間に著しく視界が悪かった、機械式駐車場の設備が誤作動を起こした、などが挙げられます。

このような施設の欠陥が直接的な原因となって損害が生じたと認められれば、管理者は利用者に対して賠償する義務を負います。

駐車場経営に必要な保険については「駐車場経営に必要な保険とは?リスクと補償内容を徹底解説」で詳しく紹介しています。

「事故の責任を負いません」という看板に法的な効力はあるか

駐車場でよく見かける「場内での事故・盗難等について、当方は一切責任を負いません」といった看板には、法的な効力に限界があります。
この種の看板は、あくまで利用者間のトラブルについて管理者は関与しないという意思表示に過ぎません。

前述の通り、施設の欠陥など管理者に明らかな過失がある場合は、この看板を掲示していても賠償責任を免れることはできません。
消費者契約法により、事業者の損害賠償責任をすべて免除する条項は無効とされる場合があります。

管理者の責任が免除されるのはどのような場合か

駐車場管理者の責任が免除されるのは、事故の原因がもっぱら運転者同士の不注意による場合です。

例えば、運転操作のミスや前方不注意によって起きた事故については、施設に瑕疵がない限り、管理者は責任を負いません。
管理者が通常の安全対策を講じ、施設の維持管理を適切に行っていれば、利用者同士の過失によって生じた損害まで賠償する義務はないと判断されます。

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駐車場で事故が起きたら?発生から解決までの対処手順

駐車場で万が一事故に遭ってしまった場合、冷静な対応が求められます。
パニックにならず、順序立てて行動することで、その後の示談交渉や保険金の請求をスムーズに進めることができます。

まずは負傷者の救護を最優先し、警察への連絡、相手方の情報確認、保険会社への報告という流れで対応を進めましょう。

自身の契約内容を思い出し、適切な行動をとることが重要です。

STEP1: 負傷者の救護と安全の確保を最優先する

事故が発生したら、まず、第一に負傷者がいないかを確認してください。
負傷者がいる場合は、速やかに119番に通報し、可能な範囲で応急救護措置を行います。

また、後続車による二次被害を防ぐため、ハザードランプを点灯させ、車両を安全な場所へ移動させるか、発炎筒や停止表示器材を設置して周囲に危険を知らせます。

その後の警察への通報義務を果たすためにも、現場の安全確保は不可欠です。

STEP2: 警察へ通報し「交通事故証明書」の発行を依頼する

駐車場内の事故であっても、物損・人身を問わず、必ず警察(110番)に通報する義務があります。
当事者同士で安易に示談を済ませてしまうと、後々トラブルになる可能性があります。

警察に届け出ることで、事故の発生を公的に記録してもらえます。
後の保険金請求の際に必要となる「交通事故証明書」を発行してもらうためにも、警察への通報は必須の手続きです。

STEP3: 相手の連絡先と加入保険会社を確認する

警察の到着を待つ間に、事故の相手方と連絡先を交換します。
氏名、住所、電話番号、車両の登録番号などを正確に確認しましょう。

さらに、相手が加入している自賠責保険および任意保険の保険会社名、証券番号、契約者名も必ず確認してください。
この情報は、今後の損害賠償請求や示談交渉を進める上で、自身が契約している保険会社が手続きを行うために不可欠となります。

STEP4: 事故状況の証拠を写真やドライブレコーダーで記録する

事故直後の現場状況を記録しておくことは、後の過失割合の交渉で非常に重要になります。

スマートフォンなどを使い、車両の損傷箇所、衝突地点、ブレーキ痕、現場全体の状況など、多角的に写真を撮影しておきましょう。

また、自身の車にドライブレコーダーが搭載されている場合は、映像が上書きされないようにSDカードを抜くなどして、データを確実に保存してください。

STEP5: 契約している保険会社に事故を報告する

必要な初期対応が完了したら、速やかに自身が契約している保険会社に事故の発生を報告します。
事故の日時、場所、状況、相手方の情報などを正確に伝えましょう。

多くの任意保険には示談交渉サービスが付帯しており、報告後は保険会社の担当者が相手方の保険会社との交渉を進めてくれます。

自分の判断で相手に賠償の約束などをしないよう注意が必要です。

自分の過失割合を正しく主張するための重要ポイント

事故後の示談交渉では、保険会社から提示された過失割合に必ずしも同意する必要はありません。
提示された割合に納得がいかない場合は、客観的な証拠に基づいて自身の主張を正しく伝えることが重要です。

ドライブレコーダーの映像や目撃者の証言は、保険会社との交渉や、場合によっては法的な手続きにおいて、自分の主張を裏付けるための強力な材料となります。

ドライブレコーダーの映像が最も有効な証拠になる

事故の状況をめぐって当事者の言い分が食い違うことは少なくありません。

そのような場合、事故の瞬間を映像で記録しているドライブレコーダーは、何よりも客観的で強力な証拠となります。
自分の車両の動きだけでなく、相手車両の速度や動き方も記録されているため、過失割合を判断する上で極めて有効です。

映像があれば、一方的な主張を退け、事実に基づいた公正な判断を促すことができます。

目撃者がいれば証言を確保しておく

事故の当事者ではない第三者の目撃証言は、客観的な情報として非常に価値があります。

もし事故現場に他のお客様など目撃者がいた場合は、協力を依頼し、氏名と連絡先を確認させてもらうことが望ましいです。
警察の実況見分に立ち会ってもらうか、後日証言してもらえるようお願いしておきましょう。

利害関係のない第三者の証言は、交渉を有利に進めるための助けとなる場合があります。

保険会社任せにせず弁護士に相談する選択肢も検討する

保険会社が提示する過失割合や示談内容にどうしても納得できない場合や、交渉が長期化してしまった場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談するのも有効な手段です。

弁護士は法的な専門知識と過去の判例に基づき、依頼者の代理人として相手方の保険会社と交渉してくれます。
弁護士費用特約が自動車保険に付帯していれば、費用負担を抑えて依頼することも可能です。

駐車場の事故と責任に関するよくある質問

駐車場での事故に関しては、特有の状況からさまざまな疑問が生じやすいものです。

ここでは、運転者や管理者の責任、過失割合の判断など、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
事故後の対応や交渉を進める上での参考にしてください。

駐車場内でバック中にぶつけられた場合、過失割合はどうなりますか?

駐車区画からバックで通路に出る際に、通路を直進してきた車と衝突した場合、基本的な過失割合はバックしていた車が8割、直進車は2割が目安とされます。ただし、相手の速度や駐車場の状況によって割合は変動します。

駐車場の看板に「責任を負わない」と書いてあれば、管理者には一切請求できないのですか?

いいえ、そうとは限りません。

「責任を負いません」という看板があっても、事故の原因が駐車場の設備不良や構造上の欠陥にある場合は、管理者が安全管理を怠ったとして損害賠償責任を問われる可能性があります。

看板は、管理者のすべての責任を免除する万能の効力を持つわけではありません。

駐車場での当て逃げ被害に遭った場合、まず何をすればよいですか?

まず、すぐに警察へ通報し、被害届を提出してください。
これは、保険金の請求時に必要となる「交通事故証明書」を取得するために欠かせない手続きです。

警察へ通報した際は、防犯カメラ映像の確認についてもあわせて依頼しましょう。
防犯カメラ映像には個人情報が含まれるため、管理会社が被害者の方へ直接開示・提供することはできません。
映像の確認や提供は、警察から管理会社へ依頼してもらう必要があります。

その後、ご自身の保険会社に連絡し、車両保険を使った修理などの対応を相談します。

まとめ

駐車場での事故の責任は、原則として運転者同士の過失割合によって決まりますが、施設の欠陥などが原因の場合は管理者が責任を負うこともあります。
事故が発生した際は、まず負傷者の救護と安全確保を行い、速やかに警察へ通報することが重要です。

その後、相手方と情報を交換し、自身が契約する保険会社に連絡して対応を相談しましょう。
ドライブレコーダーの映像などの客観的な証拠を基に、冷静に交渉を進めることが、適正な過失割合での解決につながります。

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