リスクの少ない土地の有効活用方法とは？リスクの回避方法も紹介

土地を所有していると、利用の有無にかかわらず固定資産税が発生します。この税金は、土地の評価額に基づいて毎年支払う必要があります。使っていない土地に税金を払い続けるのは避けたいと、土地活用を検討される方もいらっしゃるでしょう。

土地活用には、収入を得られる、固定資産税や相続税の節税につながるなどのメリットがあります。しかし、土地活用にはリスクがつきものです。どのようなリスクがあるかを事前に把握し、ご自身の土地や選択する土地活用に合わせて対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。本記事では、土地活用で起こりうる様々なリスクと回避のポイント、リスクの少ない土地活用について解説します。

土地活用のリスク

土地活用には様々なリスクが潜んでいます。事前にどのようなリスクがあるのかを把握しておきましょう。

空室の発生

土地活用の中でもアパートやマンション経営などの賃貸経営では、入居者がいない期間が発生する空室リスクが伴います。空室が発生すると、その間の家賃収入が得られず、経営にとって大きな打撃となります。物件購入のために金融機関から融資を受けている場合、空室があってもローンの返済は続きます。また、土地や建物には毎年固定資産税が課税されますが、これも空室状況に関わらず納税義務が生じます。したがって、長期にわたる空室は支出の負担を増加させ、経営を赤字に陥れる可能性があります。

さらに、建物の老朽化が進むと入居希望者が減少傾向になり、空室リスクはより深刻化する傾向があります。定期的な修繕や改修が行われないと物件の魅力が低下し、新たな入居者の獲得が難しくなります。適切な維持管理は、空室リスクを軽減するうえで非常に重要です。

入居者トラブル

入居者トラブルといっても、入居者同士の騒音問題や共用部分の使い方に関する揉め事、さらには家賃の滞納といった金銭的な問題まで多岐にわたります。これらの入居者トラブルは、問題解決に時間や費用が発生します。また、他の入居者の退去につながり、空室リスクを高める要因にもなりかねません。

入居者トラブルを防ぐためには、物件のルールを明確にし、入居者に周知することが必要です。管理会社を通して入居契約前の審査をしっかりと行うことも大切です。

自然災害

台風、大雨、地震などの自然災害により建物が損傷したり、倒壊・焼失するリスクがあります。さらには浸水被害に遭う危険性もあります。これらの災害が発生すると、せっかく活用していた土地や建物といった資産を失うことにもなりかねません。

このような自然災害によるリスクに備え、適切な保険に加入することが必要です。

金利の上昇

土地活用でローンを利用する場合、毎月の返済が発生します。特に変動金利を選択していると、市場金利が上昇した場合に返済額が増加するリスクがあります。借入額が大きいほど、わずかな金利が上昇すれば返済額も増加するため、注意が必要です。変動金利には金利が下がれば返済額も減るというメリットもありますが、金利上昇による返済額増加のリスクは無視できません。

すぐにやめられない

土地活用は一度始めてしまうと、すぐにやめることが難しい場合があります。例えば、アパートやマンション経営を始めた場合、入居者がいる限り契約期間中は退去させることができません。また、時間が経過すると不動産の価値が低下してしまうこともあります。その結果、売却しても利益が出なかったり、そもそも売却が難しくなる可能性もあります。当初計画した収益が見込めなくなることや、価値が下がるリスクがあることを理解しておきましょう。

リスクが少ない土地活用法

土地活用にはさまざまな方法がありますが、中でも比較的リスクが少ないとされる土地活用の方法をご紹介します。リスクを抑えつつ安定した収入を目指したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

駐車場経営

駐車場経営は、アパートやマンションのように建物を建てる必要がないため、初期投資を抑えることができます。また、狭小地や変形地でも始めやすく、将来的に他の土地活用へ転用しやすいというメリットもあります。ただし、住宅用地に適用される固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用されないため、税負担が大きくなるデメリットがあります。

トランクルーム経営

トランクルーム経営は、初期費用が少なめで設備の修繕や管理の手間もそれほどかからない点がメリットです。また、長期利用者が多く、景気変動の影響も受けにくいため、比較的安定した収益が見込めるでしょう。ただし、アパート・マンション経営ほどの節税効果は期待できず、収益性が低くなるデメリットがあります。

土地を貸す

所有している土地を個人や法人に貸して、毎月賃料を得る方法です。アパート経営などと比べると賃料収入は低い傾向がありますが、長期間にわたり安定した収入が見込めます。管理の手間がほとんどかからない点も魅力です。ただし、定期借地契約の場合、一度貸すと契約期間中は土地が返ってこないので、転用を考えている場合はデメリットになります。

土地の売却

土地を売却することも、土地活用の一つの手段です。土地を売却すれば、毎年かかる固定資産税の負担がなくなり、管理にかかる手間や費用がなくなります。売却によって得た資金は、他の資産への投資や相続時の分割など、さまざまな選択肢に活用できます。ただし、売却時には譲渡所得税などの費用が発生するデメリットがあります。

リスクを回避するためには

土地活用には様々なリスクが存在しますが、事前にそれらを把握し、適切な対策を講じることでリスクを最小限に抑えることが可能です。リスクを回避するための重要なポイントをいくつかご紹介します。これらのポイントを踏まえることで、より安定した土地活用を目指すことができます。

事前の市場調査

土地活用を始める前に市場調査を行うことは、リスクを回避し、成功につなげるために非常に重要です。土地の特性だけでなく、周辺環境や地域のニーズを詳細に調査することで、最適な活用方法が見えてきます。需要のない土地活用では収益が見込めず、損失につながる可能性もあります。人口構成や世帯数、競合物件の状況などを把握し、その土地に合った活用方法を選択することが、リスクを抑えるポイントです。周辺で成功している事例を参考にすることも有効です。

収支のシミュレーション

土地活用において、収支のシミュレーションは事業の成功に不可欠です。特にアパートやマンションといった賃貸事業では、初期投資やランニングコスト、ローンの返済額などを正確に算出し、家賃収入などの見込みと比較することで、収益性や安全性を事前に把握できます。綿密にシミュレーションを行うことで、資金不足のリスクを軽減し、多額の負債を抱える事態を避けることが可能です。長期的な視点で収入と支出のバランスを考え、キャッシュフローのシミュレーションを行うことが重要です。